連載:福祉現場のマネジメントを考える 組織と人づくり

連載:組織と人づくり

変革の進め方

~組織開発とはなにか3~

2015年07月30日


ソーシャルワークとの共通性

 『渚の風』第2・3号では、障害者支援施設・三恵園で始まった「未来に向けての組織と人づくりプロジェクト」を進める方法である「組織開発」(Organization Development)について紹介してきました。
 組織開発は、組織のコミュニケーションや人間関係、リーダーシップ、協働、チームワーク、学習する組織づくり、組織文化など、組織プロセスに関わる問題を主な対象に計画的に変化を起こし、組織の健全性や効果性を高めるための実践です。そして、①ヒューマニスティックな哲学、②民主主義の原則、③当事者(クライエント)中心のコンサルティング、④社会生態学的システムへの志向性という4 つの価値に基づき実践を進めます。この価値の部分で、ソーシャルワークの価値や三恵園での価値と通じることも述べてきました。今回は、組織開発 をどのように進めるのか、紹介していきます。

組織開発のアクションリサーチモデル

 社会福祉では、ソーシャルワーク、ケアマネジメントや障害者の個別支援であろうとも、インテーク・契約にはじまって、アセスメント、支援プラン計画、支援プランの実施、モニタリング、終結といった「支援の過程」を経ながら進みます。組織開発 も同じで、図1のようなフェーズを経て、変革が進められます。この進め方は組織開発の「アクションリサーチモデル」とも呼ばれており、組織開発の代表的な変革のプロセスとして組織開発 の教科書で紹介されています。図1に従って、各々の段階を説明していきましょう。

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著者プロフィール
安田美予子(やすだ・みよこ)
関西学院大学人間福祉学部教授.。これまで、保健医療や障害領域にける利用者支援をソーシャルワークに基づき研究してきた。 現在は、社会福祉施設・事業所における職場の人間関係、リーダーシップ、チームワーク、人間関係、組織文化など組織の人的プロセスを対象に組織開発や組織行動論などに基づいて、実践・研究を行っている。
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